米国の新国務長官に任命されるアントニー・ブリンケン氏(2020年11月4日撮影、写真:AP/アフロ)

キッシンジャー、ヒラリーのような独自の行動はとれず

 ジョー・バイデン新大統領の政治がいよいよスタートする。

 就任前から五月雨式に主要閣僚やホワイトハウス高官を指名している。ひと言でいえば、顔ぶれはバラク・オバマ第3期内閣。

 当時副長官や副補佐官だった控えが長官や補佐官に昇格している。

 そうした中で閣僚の要ともいうべき国務長官に指名されたのがアントニー・ブリンケン氏(58)。

 外交通には知られているものの、一般にはほとんど知られていない。米主要紙のベテラン記者でも外交や国務省の内情に疎い人はブリンケンといっても知らない。

 市民レベルでは、顔も名前も知られていない。

 国務長官といえば、古くはジョージ・マーシャル(50代)、ディーン・アチソン(51代)、ジョン・ダラス(52代)、ディーン・ラスク(54代)各長官といった外交を動かした歴史に名を残す人物がいた。

 ここ数十年でもヘンリー・キッシンジャーやヒラリー・クリントン両氏のようにマスコミに注目され、時には大統領を差し置いて独自の行動をとった大物国務長官もいた。

 それに比べると、ブリンケン氏は「独自のカラーなき(Colorless)目立たぬ国務長官」だ。

 かといって、降ってわいたような存在ではない。