(英エコノミスト誌 2021年1月2日号)

「グローバル・ブリテン」は結構なアイデアだが、厳しい決断を下すことと欧州との関係を結び直すことが求められる。
移行期間が終了し、英国は欧州連合(EU)から完全に離脱した。
12月24日には通商協定の合意もなされた。これにより双方は、何の取り決めもない「ノー・ディール」での離脱がもたらす、さらに大きな激変を回避する。
ただし、その合意の内容は、数カ月前に最初に打診された方針に沿った最低限のものだ。サービス業はほぼ対象外で、終わりの見えない交渉がこれから始まる。
そして英国の主張に基づいて、外交政策と国防は無視された。
袖にした欧州大陸に背を向けて海の向こうを眺めつつ、ひとりぼっちになった英国は身の引き締まる問いかけに直面している。この先、英国は世界においてどんな役目を担うべきなのか、という問いだ。
これは、英国が過去何世紀もの間、取り組んでみては棚上げにしてきた問題だ。
ここ数十年間は、失われた大英帝国や大国の地位へのノスタルジアによって思考が鈍ってしまうことが多かった。
EUというクラブにいた時は、加盟していることによって一応の答えが得られていた。
トニー・ブレア元首相が述べたように、英国はワシントンとブリュッセルの両方に影響力を持つ、米国と欧州の「架け橋」になることができた。
しかし、EUを離れた今、英国はこの点を改めて考えなければならない。