(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年12月30日付)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックで人通りがなくなった街

 この1世紀あまりの間に起こった地球規模の危機の大半は、少なくとも教育的だった。

 第1次世界大戦の後には帝国が退けられ、各国政府による民族自決が支持された。

 第2次世界大戦の後にはそのナショナリズムを、国連をはじめとする公的な歯止めを使って抑制すべきだとされた。

 その後の流血を伴わない災難でさえ、学びの体験となった。

 1970年代のスタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)はケインズ主義国家の限界をあらわにし、2008年の世界金融危機はそのケインズ主義を復権させた。

 ショックのたびに、何かしら得られるものがあった。

 今日の危機がこれまでの危機と異なるのは、そうした教訓が何一つないことだ。

 新型コロナウイルス感染症「COVID-19」に対しては、いずれかの政治モデルや経済モデルがほかのモデルを上回る成績を上げ続けているということがない。

パンデミックの指標に「パターン」なし

 指導者個人については、よくやっているとか(ドイツのアンゲラ・メルケル首相)そうではないとか(英国のボリス・ジョンソン首相)と言えるものの、この1年を「勝ち抜いた」システムは存在しない。

 それを言えば、決定的に負けたシステムもない。

 世の中の出来事にどんな意味があるかを読み解いて収入を得ている我々に言わせてもらえるなら、今回のパンデミックから重要な教訓を引き出そうという取り組みは、もうやめるべきだ。

 一時は、ドイツが比較的成功していることが欧州の社会民主主義の正しさを裏付ける現象だと思われた時もあった。