(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年12月23日付)

トランプ大統領は米国の信頼を大きく損ねてしまった

「人口100万人超の国々で見ると、今では民主主義国の方が非民主的な政治体制の国々よりも少なくなっている。今世紀では初めてのことだ」

 オックスフォード大学の歴史学者ティモシー・ガートン・アッシュ氏が「自由主義の未来」と題して書いたエッセイにある、思わず考え込んでしまう一節である。

 この見解は、スタンフォード大学のラリー・ダイアモンド氏が「民主主義のリセッション」と名付けた現象を反映している。

 次期米国大統領にジョー・バイデン氏が選ばれたことは救いだ。だが、それで一件落着とはいかない。

欧米の自由主義モデルvs中国の政治モデル

 足元で起きていることを理解するには、政治と経済を結びつけて考えなければならない。

 不平等・格差の専門家であるフランコ・ミラノヴィッチ氏は昨年出版した『Capitalism, Alone(資本主義しかない世界)』でそれを実行している。

 同氏によれば、資本主義は勝利を収めた。なるほど、確かにその通りだ。市場経済は成功している。

 しかし、先進国の資本主義経済は全く異なる2種類の政治システムを伴っている、と同氏は付け加える。

 米国やその同盟国が採用し、ガートン・アッシュ氏やダイアモンド氏が心配している「自由主義」モデルと、中国による「政治的」モデルの2種類だ。

 自由民主主義はそれ自体良いものであり、自己調整を平和的に行うこともできるというミラノヴィッチ氏の指摘は正しい。