韓国の前法務部長菅の曺国氏。写真は今年5月、ソウル中央地裁に出頭したときのもの(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 子どもの入試不正をはじめ、数多くの不正容疑で韓国を騒がせた曺国(チョ・グク)元法務部長官に関する疑惑の裁判で、初の判決が出た。23日、ソウル中央裁判所は、私文書偽造などの疑いで起訴された曺国氏の夫人鄭慶心(チョン・ギョンシム)氏に対し、懲役4年に罰金5億ウォン(約4700万円)、さらに法廷拘束という一審判決を言い渡したのだ。

検察側の完璧な勝利

 まず、鄭氏の娘の入学不正に関連した7つの容疑はすべて有罪とされた。チョン氏が自分や曺氏の社会的地位を使って娘の医学専門大学院入学のため、自らが教授を務める東洋大学の総長名義の表彰状を偽造したなどとして「私文書偽造」「偽造文書行使」「偽計による業務妨害」などの疑いが認められた。

 私募ファンド疑惑と関連しては、未公開情報を得て借名口座を使い、2億3000万ウォンの金銭的利益を得たと見されて、「資本市場法」「犯罪収益隠匿規制法違反」「金融実名制法違反」が認められた。検察の家宅捜索に備えて、家族が取得した私募ファンド資料を削除するよう指示した行動は、「証拠隠滅教唆」の有罪が認められた。

 他に、娘を自分の研究員として虚偽登録し、教育部補助金320万ウォンを不当に受け取ったことは、「補助金法違反」や「詐欺」に当たると判決した。

 ただし、ファンド会社の職員に表彰状偽造に使った自分のコンピューターを隠匿するよう指示したという「証拠隠匿教唆」については、鄭氏を共同正犯として無罪が、また私募ファンド資金の10億を横領した疑いについても証拠不十分で無罪が言い渡された。

12月23日、ソウル中央地裁に到着した曺国夫人の鄭慶心(チョン・ギョンシム)氏。この後、有罪判決が下り、そのまま法廷で拘束・収監された(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 以上のように、検察が起訴した計15件の容疑のうち11件が有罪とされ、残りの容疑についても一部有罪などの判決が下された。共に民主党が主張し続けてきた「検察の過剰捜査」という非難が色あせるような、検察側の完璧な勝利だった。