(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年12月21日付)

英国のボリス・ジョンソン首相(12月21日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスのパンデミックは、新たに承認されたワクチンが終わりがようやく見えてきたという希望を与えてくれたまさにその瞬間のために、最も残酷な一撃を取っておいた。

 ボリス・ジョンソン首相がイングランドに新たな制限措置を導入し、英国の他地域も規制を強化した後、何百万人もの英国人が休暇の訪問予定をキャンセルするために友人や家族に電話をかけている。

 感染力が高いコロナウイルスの変異種に直面し、英国の大部分で事実上「クリスマスをキャンセルする」ことは、悲しいかな、避けられないように見える。

 だが、ジョンソン氏が計画されている休暇期間の制限緩和は予定通り実施されると確約したわずか数日後に方針が転換されたために、多くの人は政府がまたしても後手に回ったと感じる。

土壇場でクリスマスをキャンセル

 首相は今年3月、最初のロックダウン(都市封鎖)に踏み切るのが遅かった。

 ある有力疫学者は、この遅れのせいで数万人が命を落としたと述べている。9月には、感染拡大を食い止められたかもしれないサーキットブレーカーと呼ばれる短いロックダウンを求めた専門家の意見を一蹴した。

 感染度合いで段階が変わる地域的なアプローチは、導入が遅く、実行がめちゃくちゃだった。

 その結果が、11月の長い全国的ロックダウンだった。しかし今、変異種のおかげで、このロックダウンが解除される前からイングランド南東部で新規感染者が再び増加し始めたことがはっきりしている。

 感染拡大が加速し、科学者が警鐘を鳴らすなか、ジョンソン氏は先週、クリスマス期間の緩和計画の撤回を提案した労働党のキア・スターマー党首をあざ笑い、5日間の規制緩和を取り消すことは「非人道的」だと述べた。

 首相が土壇場で方針転換したことで、何千人もの人が制限発動前に南東部から脱出しようと駅に殺到し、感染リスクを増大させた。経済的な打撃もエスカレートさせることになった。