テスラの時価総額の高さは収益力や将来性から判断できない

(英エコノミスト誌 2020年12月19・26日合併号)

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昨今の相場の動きは、思った以上に理にかなっているのかもしれない。

 平時でさえ、市場にはドラマになる要素が潜んでいる。

 原油価格が地政学的な動揺に反応して急上昇や急降下をするかもしれない。債券利回りが好調な雇用統計の発表を受けて跳ね上がるかもしれない。

 株式市場でも、好業績を発表した企業の株を投資家が買い上がることがある。しかし、2020年はそのドラマが極端だった(図1参照)。

図1

 3月の株価急落の速さは文字通り抜きん出ており、1カ月間の値下がり率は30%に達した。

 世界で最も重要な資産である米国債10年物の利回りは1月から3月半ばにかけて半分になった。それから数日間でさらに半分になり、それ以降は膠着したり乱高下したりしている。

 ニューヨークの原油先物市場では、期近物が一時的にマイナス価格を記録した。

 木材市況は2020年、半値になってから2倍になり、さらに2倍になってから再び半値になり、再度2倍になった(結局、年間では2倍に値上がりしている)。

 世界各地のロックダウン(都市封鎖)に伴う資産価格の下落が資産運用会社を恐怖で震え上がらせたとするなら、その後の相場回復――ハイテク株の猛烈な値上がりに導かれた夏場の上昇――は落ち着かない気分にさせた。