12月4日、臨時国会の事実上の閉幕を受けて記者会見する菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 9月16日に菅義偉政権が発足して3カ月が経った。官房長官時代の堅実な仕事ぶりが評価され、また携帯電話料金の値下げなど庶民が歓迎する身近な政策を掲げて順風満帆な滑り出しであった。

 ところが、12月5〜6日の週末にマスコミ各社が行った世論調査で、内閣支持率が10%前後の大きな落ち込みを記録してしまった。

実は人一倍支持率に敏感な菅首相

 そのような中で、11日、菅首相はネット番組に出演し、「ガースーです」と自己紹介の挨拶をした。新型コロナウイルスの感染再拡大が続き、国民が不安になっている中で、笑いを狙ったこの挨拶は、大きな批判を呼んでいる。

 ネットテレビという気楽さがあったのかもしれないが、このレベルの人気取りに国民が喝采するはずはない。「この状況で、この冗談はないだろう」というのが大方の見方である。

 衝撃的だったのは、12日に行われた毎日新聞の世論調査である。内閣支持率は40%と、先月よりも17%も下がっている。「支持しない」の率も、先月より13%もアップして49%となった。その結果、支持率と不支持率が逆転してしまったのである。

「支持率の増減に一喜一憂しない」というのが官房長官時代の菅の口癖であったが、実際は世論調査の動向に最大の注意を払っていた。今でも、マスコミの調査が不十分なときには、自民党などを使って独自に世論調査を行う。それだけに、首相になって3カ月も経たないのに、支持率よりも不支持率のほうが上回ったことに大きな危機感を抱いたのであろう。

 しかも、政府のコロナ対策についても、「評価する」は14%で、先月よりも20%も下落し、「評価しない」が62%と35%も増えているのである。新型コロナウイルスの感染再拡大に危機感を抱く国民が、大きな不満を募らせているのである。つまり、支持率低下の最大の原因がコロナ対策の失敗である。