インドネシアのコロナ感染者や死者数はASEANでも最悪の水準にある。そのコロナ禍で生活に困窮した国民を支援する事業の陰で、閣僚が甘い汁を啜っていた(写真:ロイター/アフロ)

 インドネシアの国家汚職撲滅委員会(KPK)は12月6日未明、ジョコ・ウィドド内閣の現職閣僚であるジュリアリ・バトゥバラ社会相(47)を汚職の疑いで容疑者認定し、事情聴取。同日夜には身柄を拘束、その後、逮捕した。

 KPKによると、コロナ禍で生活難に陥った国民への生活必需品の配布事業に関連して、多額の現金が業者から社会相や社会省関係者に流れた疑いが持たれている。

 逮捕されたジュリアリ社会相とともに社会省関係者2人も収賄容疑で、贈賄側の2人とともに、6日それぞれ身柄拘束の後、逮捕された。

 実はインドネシアでは、11月25日にも同じく現職閣僚のエディ・プラボウォ海洋水産相が収賄容疑でKPKによって逮捕されており(逮捕後解任)、10日ほどの間に閣僚2人が相次いで汚職容疑で逮捕、身柄拘束される事態となっている。一連の出来事は、依然としてインドネシア社会に「汚職」や「腐敗」が色濃く残っていることを国内外に印象付けることになった。

困窮した国民への支援物資納入に際してキックバック

 インドネシアの民放テレビ局は6日午前5時前後から「臨時ニュース」で容疑者認定を受けたジュリアリ社会相がKPKに出頭する様子を一斉に報じた。報道によると、コロナ禍による国民への生活支援物資供与に関連して、納入の過程で価格にキックバック分を上乗せするなどして、多額の現金が社会相側に流れたようだ。