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 中国政府が米国への対抗措置として、輸出規制の実施に乗り出した。トランプ政権は中国に対して貿易戦争を仕掛けており、華為技術(ファーウェイ)など一部メーカーへの禁輸措置を実施している。中国が同様の対抗措置を繰り出すことは十分に予想された事態といってよい。

 一連の輸出規制はあくまで米国との交渉材料なので、むやみに発動するとは考えにくいが、米中対立で一方的に被害を受けるのが両国への輸出で経済を回している日本であることは明らかだ。バイデン政権は正常化を試みるだろうが、交渉が難航するのは確実である。米中の分断化は進むと考えた方がよく、日本は近い将来、重大な選択を迫られる可能性が出てきた。(加谷 珪一:経済評論家)

日本にとっては最悪の展開

 中国政府は2020年12月1日、安全保障に関わる製品の輸出規制を強化する「輸出管理法」を施行した。同法は主に2つの枠組みで構成されている。1つは品目の指定で、同法で指定された品目については許可制となり中国企業は自由に輸出することができなくなる。もう1つは企業のリスト化で、安全保障上問題があると認定された外国企業に対する輸出が禁止となる。

 トランプ政権は、中国に対して貿易戦争を仕掛けており、ファーウェイなど一部メーカーの製品に対して、安全保障上の理由から事実上の禁輸措置を実施している。中国が今回発動した措置は、米国の禁輸措置と同じような内容であり、米国への対抗措置であることは明らかだ。