(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年12月4日付)

「喜ばしいことだ」。ドナルド・トランプ大統領を敵視する人々は快哉を叫んでいる。「これで米国は正常に戻る」――。
悲しいかな、そもそも米国がトランプ氏を背負い込む羽目になったのは、その「正常」のせいだった。
パターンが確立したのはバラク・オバマ政権の時だ。
ホワイトハウスを民主党が握り、連邦議会を共和党が支配する。大統領が何を提案しても、議会はことごとくはねつける。
ことの詳細がどうであれ、ワシントンが立ち往生した時には、米国人はその責任を時の大統領に負わせることが多い。
そして米国人はその次の選挙で、トランプ氏を大統領に選ぶことによって憂さを晴らした。
共和党にしてみれば、この戦略が少なくとも一度は機能した。であれば、もう一度やってみない手はない。
トランプ党と化した共和党
実際、共和党がこの戦略に立ち返ってジョー・バイデン次期大統領と対峙しようとすることは、ほとんど疑う余地がない。
アーカンソー州選出のトム・コットン氏のような保守強硬派の上院議員には、選挙が盗まれたというトランプ氏の主張――超の字が付くほどトランプ氏に忠実なウィリアム・バー司法長官ですら、根拠がないと退けたスタンス――を繰り返すことが期待されるかもしれない。
彼らは正真正銘のトランピアンだ。
しかし、フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員が新大統領による閣僚人事に、指名承認公聴会が行われる前からケチをつけ始めるとなれば、話は全く違ってくる。