Fintech Japan 2020でのパネルディスカッション「インフラストラクチャ(eKYCと情報銀行)の最前線」

 2020年11月17日から19日まで、オンラインカンファレンス「Fintech Japan 2020」(Fintech協会主催)が開かれ、「新しい日常の新しいフィンテック」をテーマに、講演、ディスカッション、交流が行われた。

 その中から、eKYC(デジタル技術を使った本人確認)をはじめとする本人確認の役割と情報銀行への期待を議論したパネルディスカッション「インフラストラクチャ(eKYCと情報銀行)の最前線」の一部を採録したものをお届けする。(文中敬称略)

 登壇者は以下の通り(記事冒頭写真、上段左から右、下段左から右の順)
荻野調氏:Deepscore代表取締役、Fintech協会理事
マーク・マクダッド氏:マネーツリー取締役、Fintech協会理事
肥後彰秀氏:TRUSTDOCK取締役、Fintech協会理事
瀧俊雄氏:マネーフォワード取締役、Fintech研究所長
東博暢氏:日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門プリンシパル
堀天子氏(モデレーター):森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士、Fintech協会理事

さらに洗練された本人確認が必要に

――今年は本人に成りすました第三者による預金引き出しなど、キャッシュレス決済サービスの不正利用が次々に発生した。それを受けてディスカッションの前半では、不正を防ぐために今後何が求められるのか、パネラーが意見を交わした。

肥後 デジタルテクノロジーによって実現できるサービスが増えるとともに、いろいろなサービスや事業者が連携するようになった。こうして利便性が高まるなか、サービスを提供する事業者各社には、不正による被害を防ぐために利用者ごとや取引ごとにリスクを勘案して要不要を判断しながら対策を講じる努力が求められている。本人確認は、その対策の重要なピースであり、洗練していかなければならない。

 もっとも、不正のないデジタル社会を実現するには、事業者各社の努力だけではどうしても限界がある。利用者と事業者の取り組みがしっかり噛み合うことで、不正防止の効果は高まっていく。そのためには他人に成りすまされることなく、自分が誰なのかという属性を事業者側に正確に伝えられるよう、利用者を適切にエンパワーしていく必要もある。