地球スイングバイの際の「はやぶさ2」のイメージ図。打ち上げから6年の時を経て、「はやぶさ2」がお宝を地球に持ち帰る。(画像提供:JAXA

 打ち上げから6年。いよいよ待ちに待った日がやってくる。小惑星探査機「はやぶさ2」は約3億km彼方の小惑星リュウグウと約1年半にわたり格闘し、2回のタッチダウンに成功。大量の「お宝」(=砂などの試料)を玉手箱(カプセル)に詰め、12月6日に持ち帰る。着地予想地点は、オーストラリア南部のウーメラだ。

 初代「はやぶさ」と異なり、「はやぶさ2」の旅は一見トラブルがなくすんなり成功したかのように見えるかもしれない。だが、2018年6月末に到着したリュウグウにあると予想していた平坦な場所は一切なく、凸凹だらけの「牙をむく」小惑星だった。

7つの「世界初」を達成

「はやぶさ2」は当初、100m四方の場所に着陸することを想定していた。だが、そんな場所は見つからない。リュウグウを舐めるように調べつくした結果、最終的に「はやぶさ2」が2019年2月22日に1回目のタッチダウンを行ったのは、半径3mの狭いエリア。タッチダウン直後には、表面の砂を取るための弾丸が発射された。初代「はやぶさ」が実現できなかった弾丸発射を14年ぶりに成し遂げ、大量の試料を入手したとみられる。

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「はやぶさ2」がリュウグウ上に作り出した人工クレーター。(画像提供:JAXA、東大など

 快挙は続く。世界初の小惑星人工クレーターの生成だ。2019年4月5日、「はやぶさ2」から約2kgの銅製のインパクター(衝突体)を切り離し爆発させ、リュウグウに衝突させることで、リュウグウ表面に直径約14.5mの人工クレーターを作ることに成功。この時も「目隠しをした状態で的を射る流鏑馬」と例えるほど、針の穴を通すような精密な運用が行われた。

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「はやぶさ2」第2回タッチダウンの瞬間。(画像提供:JAXA

 2019年7月11日には、クレーターからの噴出物が堆積したと想定される場所に2回目のタッチダウンとサンプル採取にも成功! 着陸地は目的地からわずか60cmしか離れていなかった。

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 結果的に「はやぶさ2」は7つの世界初を成し遂げている。

1. 小型探査ロボットによる小天体表面への移動探査
2. 複数の探査ロボットの小天体場への投下・展開
3. 天体着陸精度60cmの実現
4. 人工クレーターの作成とその過程・前後の詳細観測
5. 同一天体2地点への着陸
6. 地球圏外の天体の地下物質へのアクセス
7. 最小・複数の小天体周回人工衛星の実現