11月18日、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会の合同プロジェクトレビューを終え、記者会見に臨むIOCのジョン・コーツ調整委員会委員長と、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(写真:松尾/アフロスポーツ)

 とにかく「開催ありき」一辺倒だ。2021年夏に延期された東京五輪・パラリンピックに向け、政府と東京都、大会組織委員会は2日、首相官邸で「新型コロナウイルス感染症対策調整会議」を開いた。

 外国人観客の入国対策では2週間の待機を求めず、専用アプリの使用で健康管理を図る方針が中間整理としてまとめられ、来年春までに決定することになった。この専用アプリは陰性証明書やビザ情報、現在国内で使用されている接触確認アプリ「COCOA」の機能も反映され、来年6月をめどに完成するという。

 ただ、この東京五輪で訪日する外国人観客には国内の医療関係者や有識者から強い要望も出されていたもののワクチン接種は義務付けない方向性だ。

 入国する参加選手や関係者も14日間の待機は免除される。その一方で選手村では日本人選手や大会関係者を含め、96~120時間(4~5日)の間隔で定期検査を実施。事前キャンプ地やホストタウン滞在中も検査を徹底させるという。大会開催に向けて選手の健康管理を担う「感染症対策センター」(仮称)や「発熱外来」が常設化されることも盛り込まれ、これら中間整理でまとめられた事項はすべて来春までに正式に決まる見込みだ。

水際対策の簡素化もやむを得ず?

 このニュースは特に問題提起もなくサラッと多くのメディアで報じられているが、何とも同意し難い。特に明確な医学的根拠も示されていないにもかかわらず、要は東京五輪に関連する外国からの入国者については2週間の隔離期間を設けないまま入国を認め、専用アプリや検査徹底等で感染拡大と予防につなげられると一方的に決めつけているのである。

 恐ろしい話だ。普通に考えても、これだけ世界がコロナ第3波にさいなまれている中で入国の際の水際対策を簡素化させてしまっていいわけがない。「東京五輪」という免罪符を基にすれば、何でも許されると思ったら大間違いだろう。