(英エコノミスト誌 2020年11月28日号)

オーストラリアに対する中国の露骨な嫌がらせはオーストラリア経済にとってマイナスだが、中国のそうした行動は永遠にオーストラリア人の中に残る可能性が高い

「ラッキー・カントリー」が今、尋常でない怒りの矛先を向けられている。

 宇宙の秩序に逆らう国は窮地に閉じ込めてしまえ――。

 これは中国共産党の戦略指南書にある最も古い手だ。しかし、その中国の基準に照らしてみても、オーストラリア政府に11月に突きつけられた14件の苦情は、その範囲と敵意の両面で際立っている。

 これによると、中国が問題視しているのは、オーストラリアが南シナ海や新疆ウイグル自治区、香港における中国の活動について反対意見を表明したこと、次世代通信規格5Gネットワークから華為技術(ファーウェイ)を排除したこと、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の発生源について独立した調査を要求したこと、国内政治への外国の干渉を禁止する法律を成立させたこと、習近平国家主席肝いりのインフラ整備事業から手を引くようビクトリア州に圧力をかけたこと、サイバー攻撃を中国のせいにしたこと、そして複数の中国人ジャーナリストを中国のスパイとして告発していること、などだ。

 中国はさらに、敵対的な姿勢を見せているオーストラリアのメディアやシンクタンクについても不満を述べた。

 ある中国政府幹部はオーストラリアのキャスターに対し、中国を敵に回すなら、「中国は敵になってやる」と明言した。

 この偽善には唖然とするほかない。

 何しろ中国は外国からの投資を厳しく制限し、外国人ジャーナリストを追い払い、無実の人々を人質にとって外交上の武器にし、ほかの国々の政治に日常的に干渉している。

 シドニーのシンクタンク、ローウィー研究所に籍を置くリチャード・マグレガー氏が指摘するように、もし中国のどこかの地方政府のトップが、ビクトリア州政府と同じように外交政策を自由に展開しようとすれば、その人物の消息は二度と聞かれなくなるだろう。