(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年11月26日付)

ドイツの高級車が中国でバカ売れしている

 ドイツの自動車メーカーは自分たちの幸運が信じられずにいる。

 10年前の世界金融危機の時に落ちた穴から自分たちを引っ張り上げてくれた中国の消費者が、再び救助に駆けつけてくれたからだ。

「話がうますぎるほどだ」

 ダイムラーのオーラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は先月、中国での自動車販売台数が第3四半期に前年比で23%増えたことを喜びつつ、こう語った。

 新型コロナウイルスのせいで豪勢な海外旅行に出かけられなかった中国の富裕層が、代わりに高級車「メルセデス・ベンツSクラス」に大金を使ったのだ。

欧米市場の不振を中国が穴埋め

 中国の旺盛な需要は、パンデミックに依然苦しめられている欧米市場の落ち込みをドイツの完成車メーカーや部品納入業者が埋め合わせるのに寄与している。

 だが、それと同時に、ドイツの産業界が中国に依存しすぎではないかとの懸念も復活させた。

 また、欧州連合(EU)内では中国政府にもっと強い態度で臨めという圧力が強まっているが、ドイツ政府はこれに応えるつもりがあるのか、米国のバイデン政権下で新たに構築される対中国政策での米欧の協力関係を受け入れる気があるのか、といった疑問も出てきている。

 2人の中国人が大株主に名を連ねているダイムラーは、メルセデス・ブランドの乗用車の30%近くを中国で販売しており、グループ全体の売上高の約11%を中国が占めている。

 またドイツ株価指数(DAX30)採用銘柄のなかには、BMW、半導体製造のインフィニオン、プラスチック製造のコベストロなど、売上高の2割以上を中国で得ている企業が数社ある。