(英エコノミスト誌 2020年11月28日号)

トランプ氏への支持を訴えてボートでデモをする米国人

共和党が今後もドナルド・トランプ氏の虜になり続けるという想定は間違っているかもしれない。

 米国の大統領ともあろう者が選挙を盗もうとしている様子を目の当たりにするのは、実におぞましい経験だったが、ドナルド・トランプ氏の努力は、詳しい情報を踏まえて導かれた予想ほどには恐ろしい事態になっていない。

 今年6月、「選挙における清廉性プロジェクト(EIP)」によって招集された政界の事情通や学者など100人超で構成される超党派グループは、大統領選挙後の4つのシナリオについて図上演習を行った。

 選挙結果が不明瞭な場合、ジョー・バイデン候補が僅差で勝利した場合、トランプ氏が明らかな勝利を収めた場合、そしてバイデン氏が明らかな勝利を収めた場合のそれぞれについて、何がどうなるかをシミュレーションしたのだ。

 その結果、トランプ氏による独裁、憲政の危機、そして市街戦といった事態を米国が免れるのは最後のシナリオだけだった。

ジュリアーニ氏が裁判を率いる茶番劇

 実際の選挙でバイデン氏がトランプ氏につけた差は、「明らかな勝利」を若干上回るようなレベルだった。

 また、それに対するトランプ大統領の反応も、図上演習での想定より乱暴だった(演習の参加者たちは、トランプ氏が共和党の州議会議員たちに圧力をかけて選挙結果をひっくり返そうとするとは思っていなかった)。

 しかしそれ以外の、トランプ陣営のクーデターの予想は実現していない。

 ウィリアム・バー司法長官は雲隠れした。保守派の有能な弁護士たちは、選挙の不正を訴える大統領のでたらめな主張の弁護を辞退している。

 それゆえ、冷や汗と毛染め剤を額から流しながらジョージ・ソロス氏や故ウゴ・チャベスの陰謀についてわめく滑稽なルディ・ジュリアーニ氏が、選挙を盗もうとするトランプ氏の作戦の先鋒になった。

 あれは笑える光景で、まさにめちゃくちゃだった。