ソフトバンクに2年連続の「スイープ」という屈辱を味わわされた巨人・原辰徳監督。写真は今年6月19日の開幕戦のときのもの(写真:AP/アフロ)

 これが「現実」ということだ。2020年の日本シリーズで巨人はまたしても福岡ソフトバンクホークスに1勝もできないまま終わった。同じ相手に日本シリーズ史上初となる2年連続白星なしの4連敗を喫し、今年も日本一に手をかけることすらできなかった。

球団史に深く刻まれる黒歴史

 屈辱の記録が次々と並んだ。日本シリーズ4試合で換算した総安打数16、41三振はいずれもワースト記録を更新。チーム総得点4も日本シリーズ最少タイとなった。ちなみに2005年に千葉ロッテマリーンズが阪神タイガースに4タテを食らわせた日本シリーズの総計スコア「33-4」の略称「334」は、現在も阪神を揶揄するネットスラングとして定着している。同年に僅か日本シリーズ4得点のワースト記録を生み出し、黒歴史を刻んでしまった阪神に巨人はあろうことか肩を並べてしまったのだ。

 今年の日本シリーズの総計スコアは「26-4」。前夜はネット上で「あと7点」がトレンド上位へランクインするほどに注目を集めたことを鑑みれば、次はこの「264」も巨人に対する蔑称として今後用いられるようになってしまうかもしれない。

 日本シリーズは言うまでもなくプロ野球最高の檜舞台だ。そんな栄えある戦いの場において、ワースト記録連発とともに史上最低レベルの無様な負け方をした巨人は何を言われても仕方がないだろう。

 セ・リーグ優勝チームとはいえ、その余韻もパ覇者のソフトバンクにコテンパンにされたことで木っ端みじんに吹き飛ばされた。同じ4連敗でも15年前の阪神より遥かに重く、巨人はソフトバンク相手に2年連続だ。昨年1勝もできずに日本シリーズ制覇を逃した“怨敵”にリベンジを誓い、この1年間はそれを最大の目標にしながら懸命に汗を流しつつ戦い抜いて来たのではなかったのか。コロナ禍にさいなまれていた苦しいシーズンとなったのは巨人だけでなく、どの球団も条件は一緒だ。弁明の余地はない。