北海道の札幌市時計台(Pixabay)

(髙橋 義明:中曽根平和研究所・主任研究員)

 政府は「Go Toが感染拡大の主因というエビデンスない」と主張していたが、筆者はエビデンスそのものを政府が適切に収集・分析していないことを指摘した(「Go Toとコロナ第3波、本当に関係があるのか?」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62899)。

 しかし、感染者数の急拡大により、政府もとうとうGo Toの見直しに舵を切ることとなった。11月24日、政府はGo To Eat食事券の新規発行停止の要請、札幌市と大阪市を目的地とするGo Toトラベルの停止を決定した。「緊急事態宣言も視野」との声も聞かれるようになった。

 本稿ではGo Toの対象地域の見直しについて、自治体などのデータから何が言えそうかをみてみたい。

10月中旬から感染が拡大した札幌市、大阪市

 新規感染者数が11月に入って急増したことからGo Toとの関係性に否定的な意見も聞かれる。

 しかし、日々発表される新規感染者数は感染 →(発症 →)医療機関診療 → 検査→ 陽性判明 → 公表という手続きを経て発表される。したがって、実際に感染してからマスコミに発表されるまでに時間を要する。

 そこで感染推定時期に最も近い発症日での感染者数の推移をみてみると図1の通り、北海道・札幌市では10月16日頃から、大阪府・大阪市も10月19日頃から上昇トレンドに入っている。新型コロナの感染から発症までの平均潜伏期間が平均7.35日であること(Lauer, et al. 2020)を踏まえると10月上旬から感染が拡大していたと推察できる。西浦博・京都大学教授も厚労省の会合において、北海道・大阪では10月11日時点で実効再生産数(1人当たり何人に感染させるか)が感染拡大傾向を示す1を越えた、と報告している。