(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年11月18日付)

様々な指標が高インフレ時代への突入を警告しているが・・・

 我々は今、インフレ率が目標を下回るおなじみの状況ではなく、思いも寄らないほど高くなる新たな時代に移行しようとしているのだろうか――。

 多くの人はこの見方を一蹴する。しかし、オオカミ少年だって最後の最後には正しいことを言っていた。

 先日発行されたばかりのある書籍は、執拗にオオカミ再来の可能性を説いている。

 そのなかで特に目立つのは、今日の気前の良い財政・金融政策の結果、「過去の戦争の後に何度も見られたように、インフレ率は急上昇するだろう。2021年に5%を超える可能性はかなり高く、10%台に乗ることすらあり得る」という主張だ。

 この予言は、定評ある学者のチャールズ・グッドハート氏と、かつて投資銀行モルガン・スタンレーに籍を置いていたマノージ・プラダン氏の共著『The Great Demographic Reversal(人口動態の大逆転)』で打ち出されたものだ。

 実を言えば、重要なのはインフレが間近に迫っているという予言よりも、その分析の枠組みの方だ。

1980年代に始まった大転換

 両氏によれば、世界経済ではレジームシフトが起ころうとしている。

 前回のシフトは1980年代に見られた。

 40年前の大きなシフトはインフレを制御したいという願望よりは、むしろグローバル化と中国の世界経済への参入だった。

 両氏によれば、このシフトによって登場したのは、低水準のインフレと、高水準かつ増え続ける債務の時代だったが、これが終わりつつある。

 そしてまもなく、これが逆さまになるという。