バイデン政権が生まれても、米中の新冷戦構造は変わらない(写真:ロイター/アフロ)

 米大統領選において、バイデン前副大統領が当選確実になって、「やれやれ、これで少しはまともな国際政治になる」と胸をなでおろしている日本人ビジネスパーソンも多いのではないだろうか。

 しかし、バイデン氏が就任しても、米中の新冷戦構造は変わらない。

 その中で、日本は、経済ビジネスでは米中両国との良好な関係を築いて、橋渡しの役割をすべきだ。東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP:Regional Comprehensive Economy Partnership)を通した中国の国際社会への引き込みや気候変動問題への米中協調をテコとしていくべきだ。

トランプ大統領の悪あがきは想定内

 いまだ敗北宣言をしないトランプ大統領。敗北を認めないどころか、選挙不正を否定したサイバーセキュリティ担当のクレブス局長を更迭するという荒業までやってのけた。

 個人的な場ですでに敗北を認めたとの米メディアの報道もある。しかし、共和党内での影響力、支持者の継続的支援獲得のため、もうしばらくの悪あがきと続けるのではないか。このような事態は大統領選挙前から想定されていたといえる。

 トランプ氏の精神的打撃も甚大であろう。各国首脳から袖にされて、落ち込みが激しいのではないかと推測する。

 プライドと自己顕示欲の塊のような大統領にとって、これまで笑顔ですり寄ってきた世界の首脳が、一気にバイデン氏と電話会談を行い、新たな関係構築に走っている姿に、心がもぎ取られるような気持ちだろう。

 各国の首脳は落選した大統領には実に冷淡だ。大統領や首相といった首脳同士の関係は、首脳が落選したり、失脚したしたりすると一気に失われる。あくまでポストありきの外交上の関係は、時に実に冷淡である。

 周辺が言い出せなくなった敗北宣言。まだ、しばらくはこのような状態が続くであろう。しかし、米国内でもコロナ感染者は増加の一途であり、バイデン氏が安全保障に関する情報のブリーフを受けられないのは、国家の危機をもたらす。

 プライドの高いトランプ氏に対して、名誉ある退任の場を作るべきではないか。例えば、支持者に対して支持への感謝の気持ちを示す感謝祭を開き、4年後への抱負などを発表するなどである。名誉ある撤退方法を、心あるトランプ支持者は考えるべきだろう。