(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年11月13日付)

ダウニング街10番地の住人は戦々恐々とした日々を送っているに違いない

 英政府が大切にしている米政府との「特別な関係」に関する公然の秘密は、この関係は米国人よりも英国人にとって格段に特別だということだ。

 ウィンストン・チャーチル首相は、共通の理想と価値観、共通の言語、親類縁者の独特な絆など、ありとあらゆるもので英米関係を飾り立てた。

 米国の大統領は感傷的でない見方をし、常に国益に照らして取引を評価した。

最初から不均衡だった英米関係

 古くは1960年代に、ジョン・F・ケネディ大統領のホワイトハウス顧問が英米関係の非対称性を浮き彫りにした。

 リチャード・ニュースタット氏は、米政府は英国のことを「平等な国でも属国でもないミドルパワー、歴史と地理や経済関係のために、差し当たり我々にとって特に重要性を持つ中堅国」と見ていると考察した。

 ロンドンにとって、英米関係は国の存在にかかわるものだった。ワシントンでは、あったら好ましいという程度の関係だった。

 時間が経つとともに、不均衡は一段と顕著になっていった。

 英国はいまだに自国のことをポケットサイズの超大国として打ち出すことを好み、最先端兵器で軍を装備している。

 その結果として、英国の国家安全保障――核兵器、空母から飛び立つ戦闘機、沿岸水域の空中偵察――は米政府との関係に深く織り込まれている。

 英国の首相は核抑止力である潜水艦発射型戦略核ミサイル「トライデント」の「独立性」とされるものを盛んに唱える。