(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 2020年の米国大統領選挙は「民主主義の今後」という点でも限りなく巨大な課題を残した。

 民主主義の根幹となる自由選挙で、主要メディアが一方の党派を支援する偏向報道を続けた場合、どうなるか。一般有権者の事前の判断材料となる世論調査がこれまた偏向し、誤った情勢判断を流し続けた場合はどうなのか。

 ニュースメディアも世論調査機関も、当然ながらインターネットと密接に絡み合っている。言わずもがなのデジタル時代である。デジタル時代の自由で開かれた選挙には、ことさら新たな課題や教訓が多くなる。しかも今回は、新型コロナウイルスの大感染という異常事態が投票の方法を根本から変えてしまった。

 こうした難しいチャレンジや疑問を突きつけた米国大統領選挙で、当の米国でも意外と議論の輪を広げないのが、ソーシャルメディア(SNS)の役割についてである。

 とくに今回の選挙戦では、トランプ大統領自身がいつも使い、膨大な数の有権者たちに政治メッセージを伝えるツイッターが予想外に独自の政治色を発揮した。