(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年11月13日付)

トランプ大統領がホワイトハウスを去ってもその亡霊が生き続ける可能性がある

 スペイン人が「アウトゴルペ」と呼ぶ政権による自主クーデターをドナルド・トランプ大統領が成し遂げることはなさそうだ。

 しかし、それは努力しなかったからではない。何しろ、敗色濃厚な現職大統領が選挙は盗まれたなどと主張する事態は、米国ではこれまで一度もなかった。

 そんなことが起きた正真正銘の民主主義国を思い浮かべるのは難しい。

 リアリティーTV的なクーデター未遂への不安をまだ深刻に受け止めなければならない理由はそこにある。

 トランプ氏は何カ月もの間、自分がジョー・バイデン氏に負けたらその選挙を不正と見なすと言い続けてきた。

 本当に問題なのは、すでに正統性がぐらついている制度にトランプ氏がどれほどのダメージを及ぼしうるか、だ。

無理筋の説に同調する共和党

 その答えは「多大」となる。

 トランプ氏がやれることの限度は、同氏自身ではなく、ほかの人々が示す反応のなかにある。

 これまでのところ、選挙で選ばれている共和党員のなかには、郵便投票で不正が行われたという無理筋のトランプ説を黙認する人があまりにも多い。

 やり玉に挙がっている激戦州の多くで、共和党は議席を守ったり新たに獲得したりしている。

 従って、共和党候補者の多くは自分の当選を祝うと同時に、自分たちを当選とした投票に疑問を呈していることになる。これはいくらなんでも矛盾している。