(英エコノミスト誌 2020年11月7日号)

今回の選挙戦は実に示唆に富む過程と結果だった(写真はホワイトハウス)

ジョー・バイデン氏は著しく割れた国を統治することになりそうだ。

 何カ月も続く激しい選挙戦、139億ドルにのぼる選挙活動費、猛威を振るうパンデミック、人種問題をめぐる大規模デモ――。

 これだけの汗と涙が流されたにもかかわらず、本誌エコノミスト最新号が印刷に回された時点で、米国はまだ、次の大統領が本当にジョー・バイデン氏になるのか、それともドナルド・トランプ大統領がどうにか再選を果たすのかどうかを決めているところだった。

 連邦議会は恐らく、民主党が過半数を握る下院と、共和党が過半数を握る上院に割れる。ただし、この結果でさえ、来年1月の決選投票まで決まらない可能性がある。

(編集部注:ジョージア州では今回、上院2議席が争われ、いずれも1位の得票率が50%に達しないことから上位2位による決選投票に持ち込まれる見込み)

 今後数日間、政治家は有権者の例にならうべきだ。

 今回の投票率は1900年以降のどの年よりも高く、有権者は暴力なしで判断を下した。票の集計は最後までやり遂げ、両陣営の争いは法の精神に則って解決すべきだ。

 この見通しに対する最大の脅威は、投票日の夜のパーティーの場を借りて誤って勝利宣言し、勝利が自分の手から盗まれていると警告することで支持者をあおり立てたトランプ氏その人から来ている。

 米国の憲法を守ることを誓った人物から出たこのような扇動は、本誌エコノミストを含む多くのメディアがなぜ、トランプ氏を全面的に拒絶するよう有権者に呼びかけたのかを思い出させる出来事だ。

重要な一歩を踏み出すが・・・

 バイデン氏の勝利で、米国はその方向に向かって重大な最初の一歩を踏み出す。過去40年間で、2期目を獲得できなかった大統領は1人しかいない。

 トランプ氏は国民の一般投票で、本誌推計では52%対47%の差で負ける。トランプ氏が惨敗を免れるのは、ひとえに地方部の有権者に有利に働く選挙人団のおかげだ。これは一種の拒絶と言っていいだろう。

 バイデン氏のホワイトハウスは、全く新しい基調を定めることにもなる。

 すべて大文字のツイートや、党派的な分断を絶えずあおる言動はなくなる。利己的で常習的なウソもなくなり、私怨を晴らすために政府省庁を利用するようなこともなくなる。