(写真はイメージです/Pixabay)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 秋の富士山麓で妙なホテルに出くわした。ホテルの看板はかかったままだが、フロントまでのアプローチには落ち葉が積り、広い庭も手入れされている気配がない。従業員や客の姿は1人も見当たらない。どうも“廃墟”と化しているようだ。

 エントランスで資材を運搬する施行業者に「このホテルには泊まれますか」と聞いてみたのだが、何の反応もない。彼らは日本語を話せないアジア人のようだ。

 近くの飲食店に入り、従業員に「あのホテルはどうしたんですか?」と尋ねると、「中国人が経営するホテルですが、いろいろな噂があるホテルです。支配人が1カ月ももたずに交代してしまうという噂を聞いたことがあります」と言う。

 新型コロナウイルスでとどめを刺されたということなのだろうか。インターネットのホテル予約サイトで検索すると、予約の受付は中止されていた。

インバウンドブームで宿泊施設が急増

 山梨県と静岡県にまたがる富士山麓周辺には、多くの宿泊施設がある。山梨県では2014年以降、旅館は年々減少したが、ホテルや簡易宿所は反比例する形で増加した。富士山麓周辺でもホテルや簡易宿泊施設が次々に開業した。