都構想を推し進めた吉村大阪府知事だったが・・・(写真:アフロ)

 筆者は、10月16日付拙稿「松井市長と吉村知事に読んでほしい大阪都実現への道」で大阪都構想が可決する確率を「60%±5%」と試算した。しかし、残念ながら結果は否決だった。

 本稿発表後から投票日まで、AIを活用して可能な限りの情報をウェブ経由で入力していてわかったのは、国際金融都市構想の経済波及効果などの具体的な試算が出てこなかったこと、「大阪市4分割で218億円のコスト増」という主旨の報道が出たこと──の影響で確率の振れ幅が動いたことだった。このため、確率の振れが大まかに言えば「±5%」が「±10%」になったのだ。

 しかし、外れは外れなので、もう一度、10年前からの情報を(筆者として)可能な限り取り、応用ゲーム理論を活用したモデルで外れた理由を吟味した。その結果、改めて大阪府と大阪市が日本型行政であること、誤解を恐れずに言えば日本型民主主義であること、および大阪都構想を続けてきた10年間の継続した経済成長がなかったことの二つが浮かび上がった。

 なお、5年前の橋下徹元知事と同じく、松井一郎市長が任期満了と同時に政治家生命を終える、また今月一杯で維新の会代表から退くというのはあまりにも潔すぎる。日本が真に民主主義国なのであれば、目的を勝ち取るまでやってもらいたい。

 筆者は松井市長や吉村洋文知事のどちらとも全く面識がなく中立的な立場だが、大阪の経済を復興させるため、ひいては日本の経済を本格的な成長軌道に乗せるためにあきらめずに頑張ってほしい。遅きに失したとは言え、他の自治体の首長が注目していたこともわかったので、今度はそれも味方にすればいい。かつて女性の地位向上に尽くした市川房江議員などの粘りを、同じ日本人として見せてほしい。

 日本の大手5紙は、その主張も含めて、大阪維新の会の敗因を様々な角度から分析している。5紙の分析を積み上げれば、ほぼ全てを網羅していると言えるだろう。

 ただ、一つだけ足りないと感じたのは「民主主義とは何か」ということに対する日本人独特の認識である。反対派が「これでノーサイド」と言ったように、多数決で結論を得た後は、お互いが結論を尊重して協力するのが民主主義の基本であろう。しかし、だからと言って、一度や二度の敗北で目的をあきらめる必要はない。むしろ、しばしば「再チャレンジ」を標榜する日本の政治家だからこそ、何度でも挑戦すべきではないのだろうか。