ロシアで新型コロナウイルス感染症用のワクチンが短期間で開発できたのには理由がある

 10月19~21日の3日間、モスクワ郊外のスコルコボイノベーションセンターで毎年恒例のロシア政府が主催するオープン・イノベーション・フォーラムが開催された。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再パンデミックで1週間前に急遽オンライン開催となった。

 今年のフォーラムは韓国がパートナー国でメインセッションでは、今年4回目となる「Russia Technology Day (Korea-Russia Innovation Cooperation Forum)」が開催された。

 筆者は講演を聞くまで知らなかったが、韓国では大統領府直轄の北方経済協力委員会が設置されており、ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・中央アジア・モンゴル・中国北部を対象とする「9-Bridge戦略」(ちなみに日本の対ロシア経済協力は8項目である)が存在する。

 この中でロシア西部、つまりモスクワやサンクトペテルブルグはハイテク産業との協力が目標とされており、スコルコボイノベーションセンターにも韓国政府の出先機関であるKORUSTECHが設置されている。

 日本はROTOBO(一般社団法人ロシアNIS貿易会)が昨年に続いてゼネラルパートナーとなって日本関連のセッションを行った。今年はオンライン開催とあって、会場の雰囲気を感じることは難しかったが、ぜひ来年も継続開催を期待したい。

 さて、今年は総じて盛り上がりに乏しいフォーラムであったが、その中でも注目を集めたセッションがあった。

 ロシアで開発・承認されたCOVID-19ワクチン「Sputnik V」を開発したガマレヤ研究所をはじめ、現在ロシアで新ワクチンを開発している製薬会社、研究センターの代表者によるパネルディスカッションである。

 日本では「Sputnik V」が正規の治験手続きを経ずにロシア政府が承認したことがクローズアップされており、その開発の背景については伝えられていない。

 今回のパネルディスカッションで「Sputnik V」の開発過程がかなり詳細に説明されていた。「Sputnik V」は良くも悪くも世界で注目を集めているところでもあり、その概要を紹介したい。