(英エコノミスト誌 2020年10月24日号)

前回より投票日が早い関係で、トランプ氏がバイデン氏との間にある差をこれから埋めるのは難しいと思われるが・・・(写真は米国議会)

本誌エコノミストはトランプ大統領の敗北を予想している。その予想が外れるシナリオを検討する。

 4年前の今ごろ、2016年10月28日に、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(当時)が、ヒラリー・クリントン元国務長官の私用メール問題の捜査に関係があるかもしれない新しいメールが見つかったと発表した。

 10月半ば時点の世論調査におけるクリントン氏のリードは、今のジョー・バイデン前副大統領のそれとほとんど同じ大きさだった。その12日後、クリントン氏は敗北を認めるスピーチを行っていた。

 コミー氏の捜査再開は投票日が近づいた時に行われたが、今回は投票日がもっと近い。

 今年は暦の巡り合わせで投票日が11月3日になり、ドナルド・トランプ現大統領が勝利した時の11月8日より早くなっている。このためトランプ氏は追いつくための時間を使い果たしつつある。

 それでも4年前のことがあるだけに、米国民は何か見逃していないだろうかと考えるようになっている。

92%の確率でバイデン勝利

 バイデン氏は世論調査で大幅にリードしている。本誌エコノミストも、92%という高い確率でバイデン氏が勝利すると予想している。

 本誌のシミュレーションで大統領が獲得選挙人数で勝てる確率は8%で、トランプ氏の勝利への道は2016年に通ったのとほぼ同じ道になる。

 自らの本拠地に選んだフロリダ州で勝利し、前回やすやすと手に入れたアリゾナ、ジョージア、アイオワ、ノースカロライナ、テキサスの5州を落とさず、ペンシルベニア州も確保し、かつミシガンかウィスコンシンのどちらかの州で勝利すれば(前回はどちらも勝ち取った)、トランプ氏が再選されることになる。

 各種の世論調査は、このシナリオが実現することは考えにくいと示唆している。しかし4年前にはその世論調査が、激戦州でのトランプ氏の強さを過小評価していた。

 トランプ氏に対するバイデン氏のリードは目を見張るほど安定しており、5ポイント以下に縮小することも10ポイント以上に拡大することもほとんどないまま推移している。

 しかし、今回の選挙は新型コロナウイルスのパンデミックの最中に行われており、すでに有権者の投票の仕方が変化している。

 米国内での投票締め切りまで、あと2週間を切った今、依然残っている最大の不確実性とは一体どんなものだろうか。