ソ連時代に開発された技術は意外にもいま輝きを放つ可能性がある。サファイアに関する技術もその一つ

 10月13日(米国時間)、アップルは「iPhone12」を発表した。

 ロシアでもiPhoneの人気は高く、ロシアの景気が良かった頃は羽振りの良いビジネスパーソンを中心に新型iPhoneが飛ぶように売れた。

 2011年にスティーブ・ジョブズが亡くなった直後には、モスクワ市内の高層ビルに彼を追悼するメッセージ・スクリーンが掲げられたこともあった。

 しかし、ロシアにはいまだにアップルストア、つまりアップル直営のブランドショップが存在しない(正規販売代理店は存在する)ことに鑑みると、アップル自身はロシアにはさほど興味がないようにも思える。

 しかし、ロシアのテクノロジーがiPhoneに搭載されるチャンスがなかったわけではない。

 もちろんアップルの開発担当者が聞けば荒唐無稽と一蹴されそうだが、日本とロシアのオープンイノベーションの可能性の一つとしてご紹介したい。

サファイアガラス

 2017年に発売された「iPhone8」について、発売前の2015~16年にディスプレイの表面にサファイアガラスが使われるのではとの噂が流れた。

 サファイアと聞くと天然宝石を想像しがちだが、ここでのサファイアは酸化アルミニウムを原料として工業的に作られるものである。

 身近なところでは、高級腕時計のガラス(風防)に使われている。それはサファイアの硬度がダイヤモンドに次ぐため、つまり日常生活では傷がつかないためである。

 スマホのディスプレイの表面がサファイアガラスとなれば、液晶保護フィルムは無用となる。