(英エコノミスト誌 2020年10月10日号)

コロナ禍の長期的な影響はさらに広範なものになる。
今年2月に始まった新型コロナウイルス感染症「COVID-19」のパンデミックは、第2次世界大戦以降で最も大きなショックを世界経済にもたらした。
ロックダウン(都市封鎖)と消費支出の急減を受けて労働市場が急激に縮小し、フルタイム換算で5億人分に近い規模の雇用がほぼ一夜にして失われた。
経済パフォーマンスの差が拡大
工場が次々に操業を停止し、国境を閉鎖する国が相次ぐなか、国際貿易は揺れに揺れた。
各国の中央銀行が金融市場に前例のない介入を行ったこと、政府が勤労者や破綻しかかっている企業を支援したり、戦時のそれに近いほどの財政赤字を計上したりしたことによってようやく、さらに深刻な壊滅状態は回避された。
劇的な景気悪化は全世界で連動して起こった。
しかし、その回復が始まるにつれ、国ごとのパフォーマンスの差が大きくなってきている。これでは、いつか世界の経済秩序をひっくり返すことになるかもしれない。
経済協力開発機構(OECD)の予測によれば、来年末までに米国の経済規模は2019年と同じレベルに戻るが、中国のそれは同年のレベルを10%上回る見通しだ。
欧州は、来年末になってもパンデミック前の水準に戻れず、その後も数年間足踏みが続く恐れがある。
人口減少に見舞われている日本と同じ運命をたどるかもしれないということだ。
経済成長のスピードが異なっているのは、最大級の経済規模を誇る国々だけの話ではない。大手銀行UBSによれば、今年第2四半期における50カ国の経済成長率の散らばり具合は、少なくとも過去40年間で最も大きなものだという。