2020年7月29日には、反トラスト法に関するGAFAの公聴会が行われている(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 米議会下院の司法委員会が、GAFAとも呼ばれる米国の巨大IT(情報技術)企業4社を対象にした反トラスト法(独占禁止法)調査の報告書をまとめたと、米CNBCなどが報じた。

野党・民主党議員の報告書、立法化は不透明

 この報告書では、米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米アップルの4社が、それぞれの市場で独占的な力を享受していると結論づけ、反トラスト法の改正や法執行の強化を求めている。具体的には、事業の分離・分割や小企業買収時の規制強化などを提言している。

 報告書は反トラスト小委員会の野党・民主党議員がまとめたもので、法的な拘束力はない。与党・共和党は一部の大胆な改正案に異議を唱えており、立法化につながるかどうかは不透明だという。

 ただ、11月に行われる米大統領選挙と上下両院選挙の結果によっては情勢が変わる可能性があると指摘されている。また、米司法省や米連邦取引委員会(FTC)も調査を進めており、独禁当局によるGAFAに対す圧力は強まっている。

グーグルとYouTubeを分離、FBとInstagramを分離

 報告書では、支配的プラットフォーム企業による、分野が近い事業への参入を禁止するよう提言している。すでに参入している巨大IT企業は構造的に分割し、親会社と異なる事業機能を持たすようにすべきだとしている。

 例えば、グーグルの場合は動画配信の「ユーチューブ(YouTube)」を切り離し、フェイスブック(FB)の場合は写真共有アプリの「インスタグラム(Instagram)」や対話アプリの「ワッツアップ(WhatsApp)」を切り離すべきだとしている。米国で1933年に制定された、商業銀行業務と証券業務の分離を定めたグラス・スティーガル法に倣うべきだとしている。