(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年9月24日付)

中国の意に沿わない、例えば香港問題などに対する抗議行動は、中国からこっ酷い鉄拳制裁をうけることになる

 9月半ば、中国の習近平国家主席がドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談する予定になっていた日の2日前になって、中国はドイツからの豚肉輸入を全面停止した。

 表向きの理由は、ドイツのイノシシが1匹、アフリカ豚コレラ(ASF)で死んだことだった。ASFは中国ですでにまん延している病気だ。

 だが、一部のアナリストは別の結論に飛びついた。

 彼らにしてみると、これは中国の威嚇的な商業外交の最新例だった。数カ国との関係を支配するようになった、進化しつつある中国外交術の一面だ。

 この威嚇は決して、公に認められることがない。

 ドイツの豚肉と同様に、中国はこれまでも、安全性をめぐる懸念や何らかの官僚主義的な口実を理由に、輸入を禁止したとか、某国の製品に対する調査を始めたと発表してきた。

中国の不興を買うと標的に

 しかし、こうした対策はほぼ決まって、最近中国の不興を買った国を標的としている。そして、政策や行動の変更を強いるよう意図されている。

 豚肉輸入の禁止は、中国を孤立させようとする米政府のキャンペーンに加わるな、中国の人権問題を批判するのをやめろ、というドイツ政府への警告だった。

 オーストラリアが示唆に富んだ例を与えてくれる。

 中国とオーストラリアの関係はしばらく前から冷え込んでいたが、今年4月に完全な凍結状態に入った。

 オーストラリア政府が新型コロナウイルスの発生源と、当初の対応についての独立した調査を求めた後のことだ。