(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年9月22日付)

世界中の独裁者から支持されている米国のドナルド・トランプ大統領

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はドナルド・トランプ氏を支持している。

 同様にトランプ氏を支持する強権政治家や専制君主は世界中に何人もいる。

 トランプ氏は、米国の旧来の同盟国には友人がほとんどいないかもしれないが、強権政治を敷く指導者からの支持なら大量に集められる。

 民主党の大統領候補ジョー・バイデン氏など、全く寄せ付けない。

トランプ政権下で崩れ去った米国の威信

 暴力の使用をもいとわない「ストロングマン」を自称する世界各地の政治指導者のほぼ全員が、自由世界のリーダーであるはずの米国大統領の再選を支持している状況は、トランプ氏が自由民主主義に負わせたダメージについて非常に陰鬱なことを物語っている。

 トランプ大統領はかつて中国の習近平国家主席に、ウイグル人の監禁についてはとやかく言わないと述べたが、そんなことでは法の支配に基づく国際秩序の必要性など主張できるはずもない。

 西側は自由と法の守護者であるという考え方は、イラク戦争でひどい打撃を被った。

 2008年の世界金融危機は、ワシントン・コンセンサスが奉じる「市場に任せよ」というイデオロギーに同様な傷をつけた。

 そしてトランプ氏が国際問題について行った貢献と言えば、まだいくらか残っていた米国の道義的な威信を完全に失わせることだった。

 米国はルールの体系を軸にして第2次世界大戦後の秩序を作り上げた。ところがトランプ氏は、誰もが利己的なナショナリストであるべきだと語っている。