9月25日、韓国「国軍の日」を前に記念式典に出席した文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 韓国・文在寅政権の経済政策の本丸は、「所得主導」経済成長政策である。つまり最低賃金を引き上げることで国民の所得を増やし、それが消費増につながれば、韓国経済の成長につながるという考えである。

 しかし、この政策は経済政策立案者や経済学者の主流の考え方ではない。現に、韓国政府は、企業の生産性を高めないまま、政権発足後2年間で最低賃金を29%も引き上げた結果、良質な雇用が失われ、経済成長率は鈍化し、物価上昇もマイナスに落ち込んでしまった。狙いと全く正反対の結果を生んでしまったのだ。

 そして、文政権の経済政策の失敗はこれだけではない。文政権の「反企業的」体質そのものが韓国経済の足かせとなっている。さらに日本との関係では反日を盛り上げた結果、日韓経済関係をむしばむ事態となっている。

 文在寅政権の反企業体質がいかに韓国経済の障害となっているか考察する。

対日不買運動の象徴となったユニクロ、新店舗開店にも暗雲

 完工してから1年近くも開店が延期されていたユニクロの釜山凡一(プサン・ボムイル)店が、9月25日、ようやくオープンした。ところが事前に、ある市民団体がこのオープンの日に、ユニクロ店舗前で「不買運動」の一人デモを行うと公表した。

 強制徴用労働者像建設特別委員会のソン・ジヨン執行委員長は24日、中央日報との電話インタビューで「インターネット広告で韓日歴史を歪曲したユニクロが釜山に郊外型売り場を初めてオープンすると聞いて怒りがこみ上げる」として25日に一人デモを繰り広げることを予告したのだ。