(英エコノミスト誌 2020年9月26日号)

日本の総合商社に投資したウォーレン・バフェット氏(2019年5月5日撮影、写真:AP/アフロ)

総合商社は株主に優しい文化の広がりを反映している。

 米国の投資会社バークシャー・ハザウェイが、御年90歳になる同社の会長よりもはるかに長生きしている日本の総合商社5社に計65億ドルを投資した。

 先月発表されたこの取引がなぜ衝撃だったかを理解するには、ウォーレン・バフェット会長が1998年にフロリダでビジネススクールの学生たちに語ったことを振り返る必要がある。

 当時のバフェット氏はまだ60代。シャツの袖をまくり上げて元気に活動していたオマハの賢人は、その機知の――そして茶目っ気の――絶頂期を迎えていた。

「シケモク投資」にも値しなかった日本

 最初にさばいた質問は、日本への投資についてのものだった。

 1%という低い金利水準のおかげであの国への投資は魅力的に見える、とバフェット氏は答えた。だがそれでも、日本企業は利益率が低いため投資先として有望ではないと考えていた。

 低収益の企業でも買収に値する可能性があるのは、同氏の言う「シケモク投資」アプローチに基づく時だった。

「街を歩いて、たばこの吸い殻を探す。散々探し回った挙句に1つ見つける。湿っていて、ちょっと気持ち悪いけれど、まだ一服できる長さが残っている。そういうのを拾えば、タダで一服できる」

 しかし、この投資法をもってしても、この国の戦後復興の誇りである「日本株式会社」に投資するには至らない、とバフェット氏は説明した。

 日本のようなこざっぱりした国において、これ以上に嫌悪感を覚える比喩はなかなか思いつかない。

 地を這うような低金利がそれから22年ほど続き、バフェット氏はついにこのたばこ嫌いを克服した。

 バークシャーが伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事という大手総合商社各社の株式を5%ずつ取得したのだ。