(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年9月21日付)

新型コロナウイルス感染症は世界中で消費の在り方を激変させている

 観光業と商業用不動産を別にすると、小売業ほど新型コロナウイルスによって壊滅的な打撃を受けた産業を想像するのは難しい。

 米国のショッピングモールでは閑古鳥が鳴いている。

 Jクルーからブルックス・ブラザーズ、ロード・アンド・テイラーまで、多くの小売チェーンが破産申請した。

 在宅勤務時代にあって、パソコンやホームオフィス設備、ワインなど、人々はまだモノを買っている。だが、アパレルは最近、とにかく誰も思い浮かべないものだ。

逆風下で売り上げ伸ばす会社

 米商務省の統計は、8月の衣料品売上高が前年同月比で20%減少したことを示している。

 ファッション誌ヴォーグのアナ・ウィンター編集長でさえスエットパンツ姿で家にいる時、ドレスアップすることなど考える人はいないだろう。

 もちろん、レジャーウエアを売っているのであれば、話は別だ。

 筆者は最近、昨年記事を書いた中規模の民間スポーツウエア企業アメリカン・ジャイアントのベイヤード・ウィンスロップ最高経営責任者(CEO)と久しぶりに話をした。

 同社は、高級路線のパーカやTシャツなど、米沿岸部のヒップスターたちが愛するカジュアルウエアを生産している。

 ウィンスロップ氏によると、コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)後に売り上げが急増したおかげで、アメリカン・ジャイアントはコロナ以前に立てた35%という今年の売り上げ成長目標を突破する見通しだ。

 3月から4月にかけて販売が激減した後、5月には売り上げが前年比で60%増、6月には80%増に達したという。