(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年9月18日付)

米大統領選前のオクトーバー・サプライズを誰もが心配している(写真は米国会議事堂)

 最近、自然が米国に警告を発しているように感じられる時がある。

 空から渡り鳥が落ちてきたと思えば、西海岸の山火事の煙が欧州にまで達し、フロリダ州の一部が水に浸かっている。

 まさにワーグナーの歌劇を思わせる雰囲気だ。

 人間は舞台の袖で、自然が一息つくのを待っている。

 新型コロナウイルス感染の第2波がやって来そうななかで、そして自分の支持しない陣営が勝つとしたらその理由は不正しかあり得ないと国民のほとんどが思っている時に、米国が果たして公正な選挙を行えるか否かが今後数週間で明らかになる。

 この国には、このような状況に備えて舞台稽古を行った経験がない。

「選挙が盗まれる」

 米国のいわゆる「疲弊した多数派」の一員でいるには、今は良い時期ではない。

 共和、民主両党の支持基盤は、相手方が選挙を盗む準備をしていると信じている。

 民主党側に言わせれば、ドナルド・トランプ大統領はパンデミックの最中に、郵送での投票をできるだけ困難にしたいと思っている。なるほど、そう考える根拠は十分にある。

 今年に入ってから、今回の選挙は「我が国の歴史上最も腐敗した選挙になる」と言い続けてきたトランプ氏は、いざその時がきたら自分の合図に反応せよと支持者に教え込んできた。

 トランプ氏寄りのメディアでは、民主党によるクーデターの話をすることが日課になりつつある。