アリゾナ州にあるアマゾンの倉庫施設(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが全米1000カ所の都市近郊に小規模の宅配拠点を設置する計画だと、米ブルームバーグが報じている。

狙いは当日配送の拡大

 現在、アマゾンの物流拠点の多くは都市近郊の外れにある。今後は、ショッピングモールや大規模小売店、自動車販売店、ファストフード店などがある郊外住宅地近くに拠点を設ける。ゆくゆくは約1500カ所に拡大し、配送の迅速化を図るという。

 今年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でアマゾンの物流網は逼迫した。それ以前はプライム会員向けの標準配送サービスとして翌日配送の対象地域や商品の拡大に力を入れていた。

 しかし、巣ごもり消費の拡大でEC(電子商取引)需要が急増。同社は顧客に約束していた翌々日配送を実現できなくった。その後計17万5000人を臨時雇用するなどして体制を強化。現在はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるものの、さらなるサービス向上を目指し、当日配送の拡大を図っている。

 米シーネットによると、アマゾンは現在、全米44の大都市圏で当日配送サービスや即時配達サービス「Prime Now」を提供している。

ウォルマートなどの競合、ECでアマゾンに攻勢

 こうした中、小売大手がEC分野でアマゾンに攻勢をかけている。例えば最大手の米ウォルマートは9月15日、米国で有料会員サービス「Walmart+(ウォルマートプラス)」を始めた。食料品や日用品、家電製品などを追加料金なしで配達するというもので、年会費98ドル(約1万300円)と、アマゾンの「Prime」の同119ドル(約1万2500円)より低く抑えた。

 ウォルマートは、米宅配代行サービス大手のインスタカートと提携し、米国で当日配送サービスを始めるとも報じられている。まずカリフォルニア州のロサンゼルスやサンフランシスコなど計4都市で試験サービスを開始。最短1時間で配達し、アマゾンの会員制生鮮食品宅配サービス「Amazon Fresh」やPrime Nowに対抗する。