(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年9月11日付)

英国は「法治」という自らが最も誇っているものをないがしろにし始めたのか

 ボリス・ジョンソン首相率いる英政府は、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)後に世界で担う新たな役割を模索し、自国を自由民主主義の擁護者として打ち出している。

 閣僚たちは、既存の主要7カ国(G7)に韓国やオーストラリアといった国を加え、新しい「民主主義国クラブ」を招集してはどうかと話している。

 こうした政治家が見落としたことがある。

 民主主義の標準を高めるためには、法の支配に対するコミットメントが必要だということだ。

 2016年の国民投票で英国がEU離脱を決めた時、欧州諸国の首都が示した反応は、ひどいショックだった。

 英国はプラグマティストの国だ、と他国の政治指導者は言った。

 ほかの人なら感情に流されるかもしれないが、英国人は頭に支配されている。あの国民投票では一体全体、英国を世界で最も安定した民主主義国の一つとして定義する慎重で用心深い計算はどこへ行ったのか、と問いかけた。

 9月初旬、これと似たような息を飲む音が聞こえた。

 ある閣僚が英下院で、政府は昨年EUと結んだ離脱条約を一方的に修正することによって国際法を破る権利を自らに与えるつもりだと語った時のことだ。