「鉄は国家なり」の時代は間もなく終わる

 新型コロナウイルス感染症が直撃した2020年4~6月、世界の企業業績は大きく影響を受けた。

 8月19日付の日本経済新聞の分析によると、コロナ禍でも売上高や最終損益を増額した企業と、逆に大幅に減少させた企業がリストされている。

 アマゾン・ドットコム、マイクロソフト、アップル、テンセントといったIT企業をはじめ、米国のセンティーン、アンセム、ヒューマナなどをはじめとするヘルスケア分野がコロナ禍にもかかわらず大躍進を遂げている。

19~20世紀の主要産業は一気に凋落

 一方、ロイヤル・ダッチ・シェル、英国BP、シェブロンといった石油業界、デルタ航空をはじめ多くのエアライン、鉄道などは、コロナ禍により移動が止まり大幅な悪影響を受けた。

 テレワークが進み、「家から出ないサービス」が増える一方、航空・自動車・鉄道・旅行・飲食をはじめとする「家から出るサービス」は厳しくならざる得ない。

 しかし、産業連関を考察すると、さらに今後は深刻な事態が想定できる。

「家から出るサービス」を支えているのは自動車産業・鉄道・航空・船舶産業である。

 そして、それらの産業を支えるのは鉄鋼をはじめとする材料、そして良い鉄を精製するために必要な原料炭やエネルギー・・・。

 これらの産業も時間が経つにつれ大きな影響を受けるはずだ。