連載「ニューノーマル時代の大学」の第9回。春から夏までの数カ月間、大学はほぼリモート教育に切り替わり、教師と学生はパソコンやスマホを介して向き合うようになった。専修大学商学部の渡邊隆彦准教授が大学の教育現場最前線から、学生、教師、事務職員を含む、ヒトと大学との新しい関係を解き明かす。もうビフォー・コロナの大学には戻れない!? 否、戻らない! 今回は今後の大学に起こりうる変化を渡邊准教授が予測する。 (筆者/渡邊 隆彦、構成/鍋田 吉郎)

 ニューノーマル時代の大学はいったいどのような姿になるのでしょうか?

 これまで本連載では、リモート授業における苦労、試行錯誤、あるいは浮き彫りになった課題など、コロナ禍の大学で「起こっていること」をできるだけ具体的に取り上げ、分析してきました。では、今後大学に何が「起こる」のか? コロナ禍で余儀なくされた大学の変化をふまえ、ウィズ・コロナ時代さらにはアフター・コロナ時代を見据えて大学教育が中長期的にどのように進んでいくのか、想像をたくましくしながら論じてみたいと思います。

 私は、これからの大学の変化には、「リモート授業の拡充」と「新しい形でのリアル・キャンパスの活用」という2つの大きな方向性があるのではないかと考えています。まずは、「リモート授業の拡充」について検討してみましょう。