派閥の支持をまとめて自民党総裁選で優位に立つ菅官房長官(写真:AP/アフロ)

欧米先進国に衝撃を与えた安倍首相の辞任

 8月28日の安倍首相の突然の退陣表明は、日本だけでなく世界にも驚きが広がった。歴代最長の連続在任日数を実現した安倍首相の強いリーダーシップへの評価は、欧米先進国では定着していたからだ。

 日本では今、メディアが安倍首相の失敗を並べ立てているが、良きにつけ悪しきにつけ、強力な首相というイメージだった安倍首相の退陣は日本にとって非常に痛いことは間違いない。

 また、アベノミクスが未達のままでの退陣は、2019年秋の消費税引き上げの悪影響による景気悪化に加えて、コロナ危機対応による経済の大幅な停滞の中でのリーダーの交代を意味するため、次期首相への興味も日増しに高まるばかりである。

 事実、日本のエコノミストや世界の日本専門家が、退陣表明直後から安倍首相のレガシー分析と次の首相およびその影響度の試算を始めている。

 安倍政権が7年半もの長期政権となったことで、首相交代ごとにレポートを出してきた専門家の注目度が落ちたためか、または、モリカケと桜問題に辟易したからなのか、彼らの分析には的外れなものも少なくない。

 安倍首相が延べ176の国と地域を外遊したことは、日本がかつてないほど多くの国々に注目されることにつながった。それは、日本に対する一部の外国人研究者たちの偏った批判を全体の中で中和する役割を発揮したのも事実である。

 では、次期政権は、景気回復のためのアベノミクスを続けていくことが可能なのだろうか。