世界中で中国製アプリの使用が禁止されつつある

 インドや米国など中国と対立する国において中国企業が運営するアプリの利用を禁止する動きが見られる。

 アプリとは、正式にはアプリケーションと呼ばれるもので、スマートフォンやタブレットPC、ノートパソコンなど、いわゆるモバイル端末にダウンロードして利用する様々なソフトウエアのことである。

 さて、インドは6月29日に「インドの国家安全と防衛を脅かす行為を行い、最終的にはインドの主権と倫理を侵害している」として中国企業が運営する59のアプリを禁止すると発表した。

 また、オーストラリアも同様の措置を検討中であり、日本でも自民党のルール形成戦略議連が政府に禁止するよう法整備を訴えたと報道されている。

 また、米国では、マイク・ポンペオ米国務長官は、7月6日、米国の国家安全保障と米国人の情報が中国共産党の手に渡ることからの保護を理由に挙げたうえで、米国が動画投稿アプリ、ティックトック(TikTok)を含む中国のアプリの禁止を検討していることを明らかにした。

 そして8月6日、ドナルド・トランプ米大統領は、米企業や米国人が中国の「ティックトック」とメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」(中国版LINE)を、発令(8月6日)の45日後に禁止するとする行政命令(Executive Order)(マスメディアは大統領令と呼んでいる)を発出した。

「情報通信機器および技術」を巡る米中対立は、ますます厳しくなっている。

 米国は、中国製の電気通信機器にはバックドアが仕込まれている可能性があるとして、ファーウェイなど中国の電気通信機器メーカーの製品を米国市場から排除した。

 今回は、中国企業が運営するアプリを市場から排除しようとしている。

 本稿のテーマは、なぜ中国のアプリは米国等から排除されなければならないのか、である。

 以下、初めに中国のアプリを使用した場合のリスクについて述べ、次に米国、インドなどの国から中国のアプリが排除される理由を述べる。

 最後に、中国企業が政府からのデータ提出要求を拒否することができない理由について述べる。