マンション価格の高騰と、新型コロナに伴う郊外ニーズの拡大で戸建て住宅に注目が集まりつつある(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

(沖有人:スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント)

「マンションは高くて、もう買えない」

 最近、私がよく聞く嘆きだ。

 マンションが値上がりしやすく、資産性が高いことは既に常識になった。「メジャー7」と呼ばれるマンション大手7社の調査によると、マンション購入理由の1位は資産性となっている。こうした背景の下、マンション価格は2013年以降値上がりを続け、当時の4~5割増しになった。もう買えないと言われても致し方ない状況にある。実際にマンションを購入しているのは、共働きのパワーカップルと呼ばれる世帯が中心だ。

戸建価格は値上がりしていない

 マンション価格の値上がり要因は2つある。ホテルやオフィスと立地が競合することによる地価の高騰と、鉄筋コンクリート造に伴う建築費の高騰だ。一方、マンションが値上がりしたのに対して、戸建てはほぼ横ばいの価格で推移している。理由は簡単だ。戸建用地は戸建て以外に利用用途がほぼなく、木造の建築費は低位安定しているからだ。結果的に、分譲戸建価格は割安で、手頃感が増している。

出所:国土交通省
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