東京大学の「赤門」(出所:Wikipedia

日本の未来を見据えていた12人(第8回)「吉野作造」

(倉山 満:憲政史研究者)

 混沌とする現代。先が見通せない時代。

 だからこそ、我々は吉野作造を学ぶべきである。

 激動の幕末維新、そして日清・日露戦争を乗り越え、大日本帝国は世界の誰も滅ぼせない強い国となった。しかし、滅んだ。

 しばしば日本人は、「目標を決めて追いつけ追い越せは得意だが、目標を達成した後の現状維持が苦手だ」と言われる。要するに、「保守」が苦手なのだ。ここ100年ほどは。

 日露戦後、大正デモクラシーと呼ばれる時代を経て、昭和初期の暗黒から敗戦に至った。敗戦から立ち直り高度経済成長を達成するまではよかったが、その後は遺産を食い潰すだけである。

 この100年強、なぜ我々日本人は愚かな過ちを繰り返しているのだろう。

 その疑問に答えるカギとして、吉野作造という思想家の人生を追いかけてほしい。

意外な大学院進学、関心の的は現実の政治

 吉野は明治10(1878)年、宮城県生まれ。初名は作藏。幼少時から英才として知られ、第二高等学校に進む。在学中に洗礼を受け、浸礼派(バプテスト)を生涯の信仰とする。

吉野作造(1878~1933年)の肖像写真