米国マサチューセッツ州ウーバーオフィスのロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 米配車サービス大手のウーバーテクノロジーズが、米カリフォルニア州でのサービスを一時停止するようだと、米CNBCなどの米メディアが8月12日に報じた。

 同10日にカリフォルニア州上級裁判所が出したウーバーと同業の米リフトに対する判断を受け、同州でのサービスが継続可能かどうかを検討しているという。

 同社のダラ・コスロシャヒCEO(最高経営責任者)が米テレビ局MSNBCとのインタービューで「我々の(運営)モデルをすぐにフルタイム雇用に移行できるとは考えにくい」と述べた。

 カリフォルニア州上級裁判所は、ウーバーとリフトに対して配車サービスのドライバーを従業員として扱うよう求める仮命令を出した。米ウォールストリート・ジャーナルなどの報道よると、両社はこの命令を不服として上訴する構えだという。

ギグワーカー保護の新法「AB5」

 これに先立つ今年1月、カリフォルニア州は、配車サービスなどで単発的に働く、いわゆる「ギグワーカー」を請負業者ではなく従業員として扱うよう義務付ける新法「AB5(Assembly Bill 5)」を施行した。

 配車サービスのドライバーには、福利厚生や最低賃金制度などがない。有給の病気休暇もなく、社会保障や医療保険の会社負担もない。新法はこうしたギグワーカーを保護する目的で制定された。

 ただ、ウーバーなどはこれに反発。請負制によって柔軟な働き方が可能になり、ドライバーはそれを望んでいると主張した。また、2社は「当社の事業はドライバーと乗客を結び付ける技術プラットフォームの提供であり、旅客運送業ではない」とも主張。ドライバーを従業員として扱えば、社会保障費などの負担が増え、事業が成り立たなくなるとも訴えた。

 しかし、カリフォルニア州の司法長官などは今年5月、ドライバーに労働者としての権利を保障しなかったとして、2社を提訴した。