2018年に亡くなった「紀州のドンファン」こと野崎幸助氏(享年77)。「全財産を市に寄付する」とした遺言書を残したが、親族4人が無効確認を求めて提訴した(写真:Motoo Naka/アフロ)

(西山千登勢:SOBANI編集部)

「終活」という言葉はブームを超えてすっかり定着した感がありますが、ネット情報や各地で開催される「終活セミナー」でも「遺言」に焦点をあてたものは数多く見られます。「法的に有効な遺言書を作りましょう」などとよく提案されていますが、裏を返せば「遺言書」はその作成について関連する業界にとってはビジネスになるからです。実際、しっかりした遺言書を作成するのは、手間ですし、それなりに関連知識を要します。プロのアドバイスのもとに作成したほうがいい場合もあります。

 しかし、遺言書がなければ、相続はできないのかといえばそんなことはありません。今回は、巷のふれこみに踊らされることなく、しっかり自分なりの「相続」を考えるための一歩として、本当に遺言書が必要なのかを検討してまいります。遺言書がない場合の相続手続きの知識は必要不可欠ですのでその点もおさえました。遺言書がなくてもいいケース、あったほうがいいケースについても例を上げたので参考にしてください。