(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年8月12日付)

欧州の指導者たちは10年前の危機に多くを学んだ

 今から10年前、欧州の指導者たちは世界金融危機からの景気回復が確実になったと判断し、景気刺激策から財政・金融引き締めへと転換した。

 その結果は景気後退の二番底で、ユーロ圏では存亡にかかわるような国債危機が発生した。

 我々は今、新型コロナウイルスの危機からの景気回復が足取りを強めるなかで慢心しないよう、この鮮明な記憶をしっかり念頭に置かなければならない。

 足元の景気回復が再び、ぬか喜びで終わるリスクは大きい。

 そうなるかどうかは、政策立案者が向こう数カ月でどんな行動を取るかにかかっている。最善の結果を望むのは自然なことだが、最悪の事態にも備えておかなければならない。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)と、それが引き起こしたロックダウン(都市封鎖)によって、欧州経済は記録に残る限り最も急激な景気後退に陥った。

 ユーロ圏は今年上半期に経済生産の6分の1を失った。スペインでは経済の落ち込みが22%に達した。ドイツは比較的ましで、上半期の経済縮小が「わずか」12%で済んだ。

 人々が抱く希望は最初から、経済の崩壊は強制的なロックダウンによるものだったため、こうした制限措置がひとたび解除されれば各国経済は急回復する、ということだった。

 直近の統計は、先行きを楽観する根拠を与えてくれている。

 6月には、ユーロ圏の4大経済国で工業生産が予想を上回る伸びを見せた。小売売上高はすでに、パンデミック以前の水準まで回復している。