(英エコノミスト誌 2020年8月1日号)

香港問題が米国への最後の一押しになった可能性は高い

米大統領選挙に重くのしかかる中国政府との関係

 2018年12月、トランプ政権の対中タカ派は懲罰的な施策を連続的に繰り出す案を推し進めた。

 ボブ・デイビス氏とリンリン・ウェイ氏の近著によると、政権内部ではこれを「ファック・チャイナ・ウィーク」と呼んでいた。

 しかし、2020年7月に起きたことに比べれば大したものではなかった。

 米国はここ数週間、共産党中央政治局の委員1人を含む中国政府の幹部らに制裁措置を発動している。

 新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する残虐行為に関与しているというのがその理由だ。また、中国企業11社も共謀関係にあるとして商務省のブラックリストに載せた。

 加えて、中国による南シナ海全域の領有権主張は違法だと断じ、香港に認めていた外交・貿易面の優遇措置も廃止し、中国人民解放軍のスパイとされる中国国籍の人物4人を起訴した。

 極めつけは、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖命令だ。

 スパイ活動や影響工作の拠点と目された施設だが、ここまで踏み込んだ動きは1979年の米中関係正常化以降では初めてだ(中国はこの報復として四川省成都の米国総領事館を閉鎖させた)。

 ヒューストンでトラブルが生じている最初のしるしは、総領事館の中庭で中国の外交官たちが大慌てで書類を焼いている様子が動画で撮影され、インターネットに流出したことだった。

 40年超に及ぶ外交面での取り組みが煙のように消えてなくなることを示唆するのにうってつけのシーンだ。